1. 乾燥剤の種類と特徴について
  2. シリカゲルA型とB型の違いについて
  3. 青い粒について
  4. 包材の特性と選び方
  5. 包材による能力の違いについて
  6. 乾燥剤の使用量について
  7. 乾燥剤の保管方法について
  8. 乾燥剤の再生方法は?
  9. 乾燥剤の捨て方は?
  10. 乾燥剤を食べてしまったら?

1.乾燥剤の種類と特徴について

種類と特徴については以下の通りです。

シリカゲル

原料:二酸化珪素(SiO2)
製造方法:珪素を高温で溶かし、酸と合わせてゼリー状に成型。その後、水で酸を除去。高温で乾燥。
特徴:吸湿しても化学的に極めて安定。
用途:食料品、医薬品、電子機器、輸送用コンテナーなど多様。
安全性:食品添加物に指定されており安全性は高い。
関連規格:JIS Z 0701

生石灰

原料:酸化カルシウム(CaO)
製造方法:山から採掘した石灰石を水洗し、篩分けた後に焼却炉の中で900℃~1000℃の高温で焼いて作られる。
特徴:水と反応すると高熱を発生する。吸湿すると膨張する。
用途:食料品(特におかき、のり)
安全性:食品添加物としても使用されているので有害成分は含まれていない。
関連規格:特になし

ナチュラソーブ(クレイ系乾燥剤)

原料:二酸化珪素(SiO2)、アルミナ(Al2O3)等
製造方法:粘土鉱物のベントナイトクレイを高温で乾燥。
特徴:天然の鉱物でエネルギー効率が非常に良い。環境に配慮できる製品。
用途:食料品、医薬品、電子機器、輸送用コンテナーなど多様。
安全性:FDA(米国連邦食品医薬局)のGRASSに適合する安全な物質。
関連規格:MIL D 3464E

パワーソーブCE(塩化カルシウム系乾燥剤)

原料:塩化カルシウム(CaCl2)
製造方法:炭酸ナトリウムを作るソルベー法にて化学的に生成。
特徴:潮解性があり、水に溶けると発熱する。弱アルカリ性で直接触れると錆びる危険性あり。
非常に吸湿量が大きい。除雪剤として使用される。
用途:機械輸送、コンテナー結露防止。
安全性:海水などの自然界でも広く存在する物質。ただし、量には注意が必要。
関連規格:特になし

※パワーソーブCEは直接、商品に接触させないでください。

2.シリカゲルA型とB型の違いについて

A型とB型の違いについては以下の通りです。

A型シリカゲル
低湿度での吸湿力に優れています。密封状態で低湿度に保つ用途で使用されます。使用例として食料品、医薬品、精密機械、輸送用梱包など。

B型シリカゲル
高湿度域で優れた吸湿能力を示します。特に輸出梱包などに使用されます。A型の最大吸湿率が約40%に対し、B型のシリカゲルの最大吸湿率が約80%で約2倍の吸湿能力を備えています。

シリカゲル特性
A型及びB型シリカゲルの吸着等温線(25ºC)
吸湿率

3.青い粒について

シリカゲルに入っている青いゲルは吸湿状態を示すインジケーターになっています。白いゲルに塩化コバルトを吸着させて着色しています。水分を吸湿するとピンク色に変化します。乾燥剤の性能が残っているかどうかの目安としてご利用ください。弊社では白ゲル95%青ゲル5%の割合で混ぜています。
塩化コバルトはEU域内で発癌性物質に指定(EU Directive 98/98/EC)され、発癌性の表示義務や使用後の廃棄が制限されました。国内での制限等はありませんが、EU方面への乾燥剤、インジケータカードの輸出がありましたら、ノーコバルト製品を代替でご提案いたしますので、営業部までお問い合わせください。

4.包材の特性と選び方

包材の特性と選び方についは以下の通りです。

シリカゲル

SAシリーズ:包装材料はPETフィルムを使用し、小さな穴を開け、その穴から吸湿します。
包材の中でも経済的で食料品向けに使用されています
FAシリーズ:包装材料はポリエステル不織布を使用しています。
ポリプロピレンフィルムよりも強い包材で、輸送梱包や化学薬品などで使用されています。
TAシリーズ:包装材料はデュポン社のタイベックを使用しています。
無塵包装用乾燥剤で埃を嫌う半導体などの電子機器、医薬品などで使用されています。
CPシリーズ:包装材料はクリーンペーパー・スタクリンを使用しています。
TAシリーズ同様、無塵包装用乾燥剤で埃を嫌う半導体などの電子機器、医薬品などで使用されています。

ナチュラソーブ

SNシリーズ:包装材料は乳白のPETフィルムを使用し、小さな穴を開け、その穴から吸湿します。
包材の中でも経済的で食料品向けに使用されています。
FNシリーズ:包装材料はポリエステル不織布を使用しています。PETフィルムよりも強い包材で、
輸送梱包や化学薬品などで使用されています。

石灰

耐水紙:ほとんどの製品は耐水紙を使用しています。おかき、のりなどの食料品に使用されています。
吸湿膨張した場合に破裂しないようにサイズに余裕を持たせています。
耐油紙:揚げ菓子などの油の多い製品に使用します。油のしみこみが気になる製品には耐油紙をお使いください。
吸湿膨張した場合に破裂しないようにサイズに余裕を持たせています。

パワーソーブCE

遮水性透湿フィルムとPPフィルムをヒートシールしています。
透湿性の低いPPフィルムを片面に採用することにより、PPフィルム側からの結露の危険性を回避しています。

5.包材による能力の違いについて

包材が変わっても中身の乾燥剤の種類、量が変わらなければ、吸湿量に差はありません。
しかしながら、仮にPETと不織布を比べた場合に不織布の方が構造上空気の出入りがしやすいため、吸湿スピードが速くなります。

6.乾燥剤の使用量について

代表的な計算方法を掲載します。(乾燥剤を使用の際は必ず実装実験していただきますようお願いします)

1. 湿包装材料による包装の場合
JIS Z 0301「防湿包装方法」に定められている式を用いて使用量を計算します。

乾燥剤の使用量
  • W:乾燥剤の使用量(g)
  • R:JIS Z 0208の試験方法による防湿包装材料の透湿度(g/㎡・24h)
  • A:防湿包装の表面積(㎡)
  • t:包装期間(日)(=24h)
  • h1:包装期間中の外気の平均湿度(%)
  • h2:包装期間中の包装内部の平均湿度(%)
  • K1:包装材料と平均温度θによって定まる係数*
  • C1:使用開始時の乾燥剤の吸湿率(%)
  • C2:包装内部の許容最高湿度における乾燥剤の平衡吸湿率(%)
  • K2:包装内部の吸湿性材料によって定まる係数**
  • D:包装内部の吸湿性材料の質量(g)

*参考:各種包装用フイルムの各種温度におけるK1の値を参考表に示す。

温度
フィルム40℃35℃30℃25℃20℃15℃10℃5℃
ポリエステル11.1×10-37.3×10-34.9×10-33.1×10-32.0×10-31.27×10-30.81×10-30.48×10-3
低密度ポリエチレン11.1×10-37.0×10-34.5×10-32.8×10-31.8×10-31.05×10-30.63×10-30.36×10-3
高密度ポリエチレン11.1×10-36.9×10-34.4×10-32.7×10-31.7×10-31.0×10-30.59×10-30.33×10-3
ポリプロピレン11.1×10-36.9×10-34.3×10-32.5×10-31.6×10-30.92×10-30.53×10-30.29×10-3
ポリ塩化ビニリデン11.1×10-36.5×10-33.9×10-32.2×10-31.3×10-30.74×10-30.40×10-30.21×10-3

**K2の値は次の計算式によって計算します。

係数
  • C1:使用開始時の乾燥剤の吸湿率(%)
  • C2:包装内部の許容最高湿度における乾燥剤の平衡吸湿率(%)
  • C3:包装内部の許容最高湿度における吸湿性のある包装材料の平衡吸湿率(%)
  • C4:包装内に入れるときの吸湿性のある包装材料の平衡吸湿率(%)

2. R=0、D=0の時の乾燥剤の使用量
例えば、金属製容器(R=0)の中に吸湿性のない物質(D=0)を包装する場合、次の式により計算します。

使用量
  • V:包装内容物の容積を除いた包装容器内の空間容積(㎥)
  • H:包装時の温湿度における絶対湿度(g/㎥)
  • C1:使用開始時の乾燥剤の吸湿率(%)
  • C2:包装内部の許容最高湿度における乾燥剤の平衡吸湿率(%)

7.乾燥剤の保管方法について

保管方法についての注意事項は以下の通りです。

  1. 乾燥剤の入った缶、ダンボール箱は温湿度変化の余りない場所に保管して下さい。(野外や水まわりは避けて下さい)
  2. 一度開封した乾燥剤はなるべく使い終わるようにお願いします。
  3. 乾燥剤が残る場合は、速やかにポリ袋の中の空気を抜き、袋を絞って(脱気して)から、輪ゴム等で口を止め、缶やダンボール箱に入れてフタを閉じ、さらにテープ止めして保管して下さい。
  4. デシケーター(防湿容器)または、それ相当の密閉容器が使用可能な場合には、ポリ袋ごとデシケーターの中に入れて保管してください。

8.乾燥剤の再生方法は?

再生方法については以下の通りです。

シリカゲル

<A型の場合>
通常150~180℃で加熱する。少量の場合はフライパンや電子レンジで加熱すると性能が回復します。
ピンク色のシリカゲルは加熱すると元の青色に戻ります。

<B型の場合>
時々天日に干すなどで、簡単に吸湿力が回復します。

生石灰

生石灰が吸湿により消石灰に変化する化学反応のため再生はできません。

ナチュラソーブ

通常150~180℃で加熱する。少量の場合はフライパンや電子レンジで加熱すると性能が回復します。ただし、粉化する。

パワーソーブCE

再生できません。

9.乾燥剤の捨て方は?

自治体によりゴミの分類は異なりますので『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』にしたがって処理してください。

10.乾燥剤を食べてしまったら?

対処方法は以下の通りです。

シリカゲル(透明または青色の粒)/ナチュラソーブ(砂状の鉱物)

毒性はありませんので、中毒の心配はありません。腸管吸収はほとんど行われないため、自然排泄されます。

  • 目に入った場合
    目をこすったりせず清水で十分に洗浄した後、医師にご相談ください。
  • 口に入れた場合
    うがいをよく行い、異常のある場合は医師にご相談ください。

生石灰(白色の粉末状、塊)

生石灰(酸化カルシウム)は水と反応し強く発熱します。化学反応後、消石灰(水酸化カルシウム)に変化。
消石灰の水溶液は強いアルカリ性を示すので、粘膜を刺激します。

  • 目に入った場合
    直ちにきれいな水で20分以上十分に水洗いし、速やかに医師の診断を受けてください。
  • 皮膚に付いた場合
    直ちに多量の水で洗い流してください。
    炎症等が見られたら、速やかに医師の診断を受けてください。
  • 吸入した場合
    直ちに空気の新鮮な場所に移動させるとともに、きれいな水でうがい、鼻腔を水洗いした後、速やかに医師の診断を受けてください。
  • 飲み込んだ場合
    直ちにきれいな水で口の中をよく水洗いし、速やかに医師の診断を受けてください。